エロー外務大臣による講演「蘇るナントー文化による都市再生の軌跡」


堀尾 藍(INDIGO MAGAZINE 編集長)

2015年10月5日、フランス共和国外務大臣Jean-Marc Ayrault(当時は外務大臣就任前)が東京藝術大学にて講演会を行った。エロー氏は、歴史的遺産を如何にして効果的に演出したか、について言及した。

ナント(Nantes)はフランス西部に位置し、19世紀には産業・工業都市として発展し、ビスケット工場で名前を有名にする。エロー外務大臣は、1.ビスケット製品のヒットにより、同社がナント市に対し、芸術的建築を寄贈したこと、また、2.ビスケット工場の跡地を利用した施設”Le Lieu Unique”によって、パリの”Centre national d’art et de culture Georges-Pompidou”のように現代アートの紹介を実現した、と指摘した。 エロー外務大臣は、市長時代、ナント市税の15%を街の芸術保全に充当させ、”livre et l’art(本の見本市)”や”La Lolle Journée(クラシック音楽の祭典)”といったイベントを開催し、また、街全体をギャラリーとし、観光業にも力を入れ、文化外交を推進した。

ナントの負の遺産といえば、奴隷貿易、である。18 世紀、三角貿易として、ナントはヨーロッパ初の奴隷貿易の拠点となり、アフリカ人の多くがアメリカへと送られた。エロー外務大臣は、前述のとおり、ナントの街全体を藝術の展示場にすることで、産業・工業の衰退、奴隷貿易、といったナントの負の印象を払拭することに成功した。

今後、ナントにおいて、将来有望なアフリカ出身のアーティストによる展覧会も近い将来、実現するかも知れない。 前フランス首相であるエロー氏は、ナント市を再生した。新たに外務大臣として再出発となるが、外交の舞台では、深刻な中東やアフリカ問題に関する諸問題を解決することを期待する。

 

 

スクリーンショット 2016-05-20 21.50.20

筆者撮影(2015)

主な参考資料

http://www.lelieuunique.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です



*