【独占インタビュー】飯村豊 外務省日本代表によるガザに対する日本の役割(2)


堀尾 藍(INDIGO MAGAZINE 編集長)
AI HORIO, Editor in Chief

7月24日、外務省の飯村豊日本代表(中東地域及び欧州地域関連)に対する独占インタビューを行わせて頂きました(於外務省政府代表室)。以下、インタビューの様子です。

Q:パレスチナ自治政府はイスラエル政府による攻撃に対し、どのような対応をしているのでしょうか?
A: 既に申し上げたように、(自治)政府はハマス側に働きかけたり、ハマスと関係の良いカタールや、国連事務総長、ケリー国務長官、アラブ連盟、日本を含む国際社会の多くの国々と接触し、速やかな停戦の実現に向けて全力を注いでいると思います。
Q:また、日本政府はどのような対応をされていますか?
A:停戦実現に向けて安倍総理のネタニヤフイスラエル首相への働きかけの他、様々の努力をしていますが、従来から日本はガザ地区への支援を行っています。ここに、現在実施中の支援プロジェクトの資料がありますが、日本はかなりガザ地区に対し、支援を実施しています。資料を見てお分かりのとおり、日本政府は国際機関やNGO経由でガザ支援を行っています。
NGOについては、「パレスチナ子どものキャンペーン」などガザで活動している日本のNGOに政府は財政支援を行っています。NGOだけでは、財政的に不足するため、政府が支援しているものです。
また、これに加え現在の緊急事態に対応するため、新たな支援を検討中です。
Q(補足1):なぜこの2つのNGOに特化しているのですか?
A:この2つのプロジェクトに特化している訳ではありません。良いプロジェクトを実施しているNGOはできる限り支援をしたいと思っています。例えば、シリア難民に対す支援ですと、Peace winds Japan等、多くのNGOに支援しています。
Q(補足2):この資料の国際機関経由の支援の一覧によると、UNRWAへの支援額が他の機関よりもかなり大きくなっています。それは医療支援が要因でしょうか?
A:いえ。一般的な難民に対する支援は、以前、緒方貞子氏が高等弁務官を勤められた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が行っていますが、パレスチナの難民支援はUNRWAThe United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugeesが行っています。医療や学校といった教育の支援も行い、行政の役割を担っています。そのため、UNRWAは一番支援ニーズが多いですし、UNRWAへの支援がなくなれば、子ども達の学校支援もなくなってしまいます。日本政府の国際機関を通ずるガザ支援は、UNRWA UNICEF UNDP等があります。また、食糧ですと、WFPに対する支援があります。
 以前、ガザでも、JICAの人達が入っていましたが、今は退避勧告が出ています。NGOの場合も、今、日本人スタッフは出国しており、現地職員のみです。西岸の方は様々なプロジェクトがあります。それは、国際機関経由もありますし、NGO経由もありますが、日本政府が直接実施しているプロジェクトもあります。

         写真 飯村豊日本代表(筆者撮影)

Q(補足3):日本政府ということはJICAですか?

A:そうです。JICAのオフィスがラマラ(Rām Allāh)、ジェリコ(Jericho)にもあります。
パレスチナの国家が樹立されるのが夢ですが、そのためには、持続的な経済活動が必要ですし、国家の様々な制度、例えば教育制度も必要です。今、一つ力を入れているのはプライベートセクターの活性化です。ジェリコ郊外で、農業加工団地(Jericho Agro- Industrial Park:JAIP)の建設を進めています。現在、第1フェーズを実施中で、最初の工場が来月から稼働する予定です。
 最終的に第3フェーズまで終わると、約7千人の労働者が雇用され、労働者の方々の家族も入れると約2万人の人々の生活を支えることになります。西岸の人口は280万人ですので(パレスチナ全体では約450万人の人口)、大規模なプロジェクトになります。
 最初に稼働するのは、オリーブのエキスで化粧品を作るためのもので、そのエキスを抽出するための工場が完成しつつあります。二番目に冷凍野菜工場を作っています。将来はこの工業団地の商品を、ヨルダン渓谷のアレンビー橋を渡ってヨルダンや湾岸へ輸出する計画があります。そうすると、外貨も稼げます。僕達は、それらのプロジェクトに力を入れています。もちろん、他のプロジェクトも実施しており、病院、学校を建設し、下水道を整備したりしています。また、将来は観光が発展することが望まれますので、JICAが観光プロジェクトを実施しており、この場合は国際機関を通じてではなく、二国間援助になります。
 パレスチナが国家として自立するために、世界中の国が援助を行わなければなりません。東アジア諸国が自らの経済発展の経験を踏まえ、パレスチナを支援していくことが重要だと思います。昨年の3月1日にパレスチナ開発のための東アジア諸国会議(Cooperation among East Asian Countries for Palestinian Development :CEAPAD)を日本のイニシアチブで作りました。2013年2月、東京で第1回目の閣僚会議が、また、今年の3月に、第2回目の閣僚会議がジャカルタで開催されました。日本からは岸田副外務大臣が共同議長として出席され、今後の支援の方針について話し合われました。日本がイニシアチブを取り、東アジアが一緒になり、パレスチナ支援を行う。今までのパレスチナ支援ですと、アメリカとかヨーロッパ或いはアラブの湾岸諸国が中心でしたが、これからはアジアの人達も力を合わせる必要がある、と考えます。
                  (つづく)
<参考資料>
JICA(JAIP)
Cooperation among East Asian Countries for Palestinian Development (CEAPAD)

■飯村豊(いいむら ゆたか)
昭和21年10月16日生、東京都出身
日本政府代表(中東地域及び欧州地域関連)。フランス大使、インドネシア大使、等を歴任。

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